手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」
前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術
前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術は2012年4月より保険診療対象手術となり、当科では2012年11月より同手術を開始しています。
ロボット手術とは?
ロボットによる手術と聞いて、「ロボットが医者の代わりに手術をやってくれるのですか?」と質問される患者様がいらっしゃいますが、そこまで優秀な医療用ロボットはまだ存在しません。この術式では"ロボット支援"という名の通り、ダビンチという手術用ロボットが腹腔鏡手術の支援をする優秀なデバイスとして機能します。
写真①に示すロボットがダビンチ本体で、ダビンチには1つの腹腔鏡と、3本の操作用の器具が取り付けられるようになっており、術者は写真②に示すコンソールと呼ばれるコックピットからダビンチを遠隔操作することで腹腔鏡手術を行います。
ロボット手術の利点
通常の腹腔鏡手術の利点として、
- 出血量が少ない
- 傷口が小さいため術後の痛みが少なく、回復が早い/li>
ロボット手術・入院の実際
- 手術は全身麻酔で行い、術後の痛みを和らげるため背中から硬膜外麻酔用のチューブを入れることもあります。
- 図に示すように臍周囲及び下腹部に6か所、直径1-2cmほどの皮膚切開を加えて、この部位にポートと呼ばれる筒状の器具を留置し、手術中に手術器具の出し入れを行います。
- 前立腺の摘出に加え、リンパ節転移の検索をするためにリンパ節を郭清(切除)することがあります。リンパ節を取るかどうかは手術前の病巣の広がり、前立腺特異抗原(PSA)の値、前立腺生検の際の癌の悪性度により決定します。
- 前立腺を摘出した後は、膀胱と尿道をつなぎ合わせることで尿路の再建を行います。
- 手術後は尿を取り出す管(尿道バルーンカテーテル)を尿道から膀胱内に留置し、膀胱と尿道をつないだ部分の周辺に管(ドレーン)を入れて皮膚から出しておきます。
- ドレーンは3日程度で抜去します。手術後1週間の段階で、レントゲン室において尿道バルーンカテーテルから造影検査を施行して、膀胱と尿道が漏れなくつながっているかを確認し、漏れがなければ尿道バルーンカテーテルを抜きます。漏れがある場合にはもう1週間待って同様の検査を行います。
- 尿道バルーンカテーテルを抜いて1週ほどで退院可能となります。すなわち入院期間は通常2~3週間となります。
費用
2012年4月より、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術が保険適用になりました。手術・入院費に健康保険が適用されますが、最終的な負担額は年齢等により異なります。費用についてご不明な点がありましたら、受診した際にご相談下さい。