腎移植

腎移植の流れ
ドナー(腎臓を提供していただく方)

生体腎ドナーとは

腎臓提供者をドナー、移植を受ける患者さんをレシピエントと言います。
生体腎移植とは、健康な人から2つある腎臓の1つを摘出し、それをレシピエントに移植する方法です。

日本では従来から献腎移植(脳死又は心停止した方から腎臓提供される移植)の提供者が少なく、生体腎移植が主に行われてきました。生体腎移植は、主に家族の方から片方の腎臓を提供され移植するもので、健康な人が手術を受けなければならないということが最も問題です。しかし、献腎移植・生体腎移植どちらも末期腎不全の根治的な治療法です。

移植は、透析治療から解放されることが一番大きなメリットです。食事制限が緩和され、水分制限がなくなります。透析に日常生活の多くの時間が取られ社会的制約があった状況から、健常者と同様な生活が可能となります。
そして、透析治療を長期間行うことによって起こってくる動脈硬化、骨障害、アミロイド症、心不全などの合併症の進行を、腎移植によって止めることができます。また、シャント障害や腹膜透析時に問題になる硬化性腹膜炎に悩まされることもありません。さらに尿毒症の状態が解除されることにより体が軽くなったり、頭がすっきりし痒みもなくなったりします。また味覚障害が改善されることもあります。

しかし、移植が何もかもバラ色の医療かというとそうではありません。誰かから腎臓を提供していただく必要があります。また、移植後は免疫抑制薬を内服し続けなくてはなりません。そして移植された腎臓の機能が悪くなり透析医療に戻らなければならないことや、移植を受けたがゆえ亡くなる時期が早くなる可能性もあります。

腎臓の提供を考えている自身やご家族が、提供手術前の色々な検査の目的と危険性、提供手術の方法と危険性、また手術後にどのような経過を経て元の生活に戻って行かれるか、また手術の前後にどのような問題が起こる可能性があるか、腎臓提供手術後長期間経過して起こりえる問題の可能性をよく理解していただくことが重要です。

ご自身の腎臓を提供し生体腎移植を行うかどうか決定される際、移植の利益と危険性、腎臓を提供することに関わる危険性を十分理解した上で、誰からの強制もなく、自発的な意思で提供を申し出られていることが、生体移植医療には一番重要なことになります。

腎臓提供者の健康管理

生体腎移植のドナーになるということは、簡単に決められることではありません。腎臓の片方を提供して患者さんを助けたいという強い意思はもちろん大切ですが、明らかにドナーが危険にさらされるような手術は出来ません。どんな手術も100%安全だという保証はありませんが、出来る限りドナーにとって危険が及ばないよう、私達は慎重に検討していきます。

またドナーの方には、手術前からはもちろんですが手術後も、ドナーの健康を維持するために、ドナー自身にも責任を持って生活するよう心がけてもらう必要があります。

家族のサポート体制

生体腎移植では1つの家族から2人が手術を受けることになります。経済的にはもちろんですが、精神的にも家族の負担が大きくなります。そのため、レシピエントとドナーだけでなく、家族やその他周囲の人の協力や支援が必要です。移植前からそれらの人達に理解してもらい、協力と支援が得られるよう準備することが大切です。

生体移植で大切なことは、ドナーの家族(兄弟姉妹間での移植ならドナーの家族、夫婦間での移植ならドナーの肉親)もドナーとなることを理解し、納得されているということです。時には反対されることもあるでしょう。反対を押し切ってドナーになることで、移植後、家族の間でしこりが残る可能性があります。ドナーになると決めた時点から、家族・肉親の方々としっかり相談してください。必要があれば、ドナーの家族・肉親の方にも来院してもらってください。医師より十分な説明をいたします。

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