腎移植の流れ
レシピエント(腎臓の提供を受ける方)
腎移植後の免疫抑制療法
移植を受けた人の身体に生まれながらに備わっている免疫力により、移植された臓器を異物と認識して、破壊しようとする反応が起こります。この反応を拒絶反応と言います。
拒絶反応の種類
生体がもつ免疫反応により、移植した臓器(異物)に対する拒絶反応が起こる。
拒絶反応により移植した腎臓に障害が起こります。症状としては発熱、倦怠感、腹膜の刺激や創部への痛みがみられます。免疫抑制薬を投与しないと、1週間くらいの間に移植された臓器は破壊されてしまいます。拒絶反応の強さは、ドナーとレシピエントの組織適合抗原の差に関係していますが、個人差もありますので、免疫抑制療法の内容は患者さんごとに多少異なります。最初は4種類の薬剤を組み合わせて強力に行います。安定した効果が得られるようになると、薬剤の種類を減らし、それぞれの薬剤は時間をかけて減量していきます。しかし、拒絶反応の徴候が見られたら、薬を追加、変更したり、また投与量を増やしたりします。退院後は免疫抑制薬をきちんと決められた指示通りに服用し感染予防を日頃から行えば、普通の生活が送れるようになります。そして移植から時間が経つにつれて薬の量も減っていくため、薬の副作用や感染症の心配は少なくなっていきます。
主な免疫抑制薬
移植後、免疫抑制薬はタクロリムスかシクロスポリンのどちらかを内服します。
その他2~3種類の免疫抑制薬を組み合わせて用います。
タクロリムス・FK506(商品名:プログラフ・グラセプター)
プログラフ(1日2回)
グラセプター(1日1回)
腎機能障害(尿が少なくなる・顔、手、足がむくむ・腎不全)、神経学的症状(頭痛・手がふるえる・しびれ・けいれん・睡眠障害)、高血圧、糖尿病、胃腸障害(吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢)、高カリウム血症、低マグネシウム血症、リンパ節の腫大
シクロスポリン(商品名:ネオーラル)
腎機能障害(尿が少なくなる・顔や手足がむくむ・腎不全)、神経障害(手の震え・しびれ・けいれん)、頭痛、高血圧、急性膵炎、多毛、歯肉の腫れ、高カリウム血症、リンパ節の腫大
プレドニゾロン(商品名:プレドニン)
食欲増加による体重増加、胃の不快感、胸焼け(消化性潰瘍)、ニキビ、顔・手足のむくみ(満月様顔貌)、視力の減退、多毛、気分のムラ、イライラ又は不眠、高血圧、傷の治りが悪い、日光過敏、骨粗鬆症、骨頭壊死
ミコフェノール酸モフェチル(商品名:セルセプト)
骨髄抑制(感染症にかかる危険性の増大・貧血・出血)、消化管症状(下痢・吐き気・嘔吐)
IL-2レセプター抗体(バシリキシマブ・商品名:シムレクト)
エベロリムス(商品名:サーティカン)
感染症、創傷治癒の遅延、脂質異常症、糖尿病(高血糖)、血球減少、腎障害
他にも、イムラン、ブレディニンなどの免疫抑制薬があります。